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みなさんこんにちは、深沢千尋です。(公式ページ
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マイルスはこの順番に聴け!(4)『Live Evil』&『Cellar Door Session』~ぼくのアルバム ベスト100(4)~

さて、『マイルスはこの順に聴け』の4回目である。

基本的に、ぼくがそうだったような、世間に多いであろうロック中心に洋楽を聴いている人がマイルスにどっぷりハマるにはどの順で聴くのが早いか、を考えて書いている。

分かりやすさで言うと80年代のポップな作品『Star People』『TUTU』『You are under arrested』だろうが、分かりやすすぎてシャラッとしている。どのアルバムも愛聴しているしマイルスらしさも横溢していると思うのだが、いきなりこれらを聴いてもそのマイルスらしさが感じ取れずに流して聴いてしまうと思う。
それよりも「最初聴くと分からなかった」「何回か聴くと分かった」という過程を踏んだほうがやはりハマると思うので、ある程度ガツンと手ごたえのある作品を選んだ。

また、同じ曲を公式スタジオ盤、公式ライヴ盤、非公式ライヴ盤で聴き比べることで、テオ・マセロの編集の妙、そして未編集盤の味わいと、ライヴ/スタジオ盤の演奏の違いを聴き比べるのも楽しいと思った。

さて、これまで80年代の作品を紹介してきたが、マイルスの頂点はやはり70年代、具体的に言うと1974~5年だと思う。ではなぜ80年代の作品を先に紹介したかというと、いきなり70年代の作品を聴いても訳が分からないのではないかというのがひとつ、もうひとつは、矛盾するが、まず70年代の作品に親しんでしまうと80年代の作品が物足りなくなってしまうので、それももったいないのではないか、ということがあった。

個人的な感想だが、80年代のマイルスはツマラナイ。これはポップな作品ほどそうで、分かりやすいレコードは退屈で飽きてしまう。でもこれ、音楽全体がそうなのだ。これは、デジタル・シンセサイザーがよくないのではないかと思う。ジョー・ザヴィヌルの作品も70年代のウェザー・リポートはすごくいいが、『マイ・ピープル』(大傑作だが)のイントロのキン、キンというデジタルな音を聴くとちょっとガッカリしてしまう。デジタルシンセも出始めは「シンセでこんな音が出るのか!」と感動したが、今聴くとすごく古い。昔新しかったものは急速に古くなるのである。もっとも、演者もそう思っているようで、90年代以降のミュージシャン、たとえばジャミロクワイなどはアナログシンセを効果的に多用している。ザヴィヌルも晩年の音はすごくいい。デジタルシンセもプリセットのままではなくて、いろいろパラメーターをいじって深みのある音になってきている。また、80年代は80年代でスクリッティ・ポリッティやプリンス、マドンナ、あとチャカ・カーンの『Feel For You』やハービー・ハンコックの『Rock It』などのコテコテ80年代! という感じの音楽はまた吹っ切れていていい。しかしそれはまた別の話。

さて、70年代のマイルスだが、ここまで順番に聴いてくださった方は何をどう聴いてもいいし、ガンガン適当に聴いてるような気もするが一応今週のオススメ。

『ライヴ・イヴル』だ。



すごいジャケットでしょう。裏側もすごいよ。

さて、マイルスはキーボードによって年代を区切ることもできる。
ビル・エヴァンス、ハービー・ハンコック、ジョー・ザヴィヌル、チック・コリア、キース・ジャレット、マイルス自身、その他である。
しかしすごい顔ぶれである。
この頃はチック・コリアからキース・ジャレットへの移行期で、キースがフィーチャーされている。

この当時「俺のキーボード奏者ではキースが一番だな」とマイルスが言ったそうで、そのセリフをいたく気に入ってネット上で引用しているジャズファンが多い。でもぼくはあまり深い意味はないと思う。ガイジンはすごく人を褒めるからだ。ハービーもチックもザヴィヌルもそう言われてると思う。ときどき他のキーボーディストを貶めるためにこの言葉を引いているファンもいたりして、それはどうかと思う。

しかしこの時期のキースはスゴい。
キース・ジャレットはもちろんジャズ史の偉人だが(ジャズファンではよく知らないが)この時期のキースは特にスゴい。
エレキ時代である。エレピとハモンドをVの字型に設置して弾いたそうだが、とにかく楽器にかぶりつくようにしてがむしゃらに弾いている。

ドラムがジャック・ディジョネット。80年代からはキース・ジャレット・トリオの一員として20年以上演奏している彼だが、ノリノリの演奏をしている。特にM2「What I Say」がすごい。この曲、地球の音楽の中で一番ノリノリかもしれない。

ベースがマイケル・ヘンダーソン。もともとスティーヴィー・ワンダーのツアーに参加していたアフロ頭のベース奏者である。ぼくは彼こそがマイルスをファンクの世界で爆発した起爆剤だったのではないかと思っている。明るく楽しいベース。

パーカッションがアイアート・モレイラ。このレコードはときどき人の声が入っていて、それはキースがうめいているのではないかと言われるのだが、「ピアノとセックスしている」と言われるキースのウメキ声はもっと耳障りな感じで、レコード全体を通じて発している「Yeah!」みたいな声は、実はアイアートのものではないかと思うがどうだろうか。

そしてギターにジョン・マクラフリンが入っている。以下略。

さてこの作品はスタジオ録音曲とライヴがほぼ交互に入っている。

スタジオの曲はホニョーとしたなごみ系の曲で、ほとんど同じ曲が3回入っていて、よくわからない。まあライヴ部分が熱すぎるので箸休めみたいな? エルメート・パスコアールが参加していたりする。

しかしメインディッシュはライヴ部分だ。ワシントンDCのセラー・ドアというクラブで4日間10回に渡って行われたライヴのうち、1970年12月19日土曜日の様子を大胆・巧妙に編集して作られた作品である。

なぜ4日目だけ使ったかというと、マクラフリンが参加したのはこの日だけだったから。
これ、3日やっていて「どうも何か足りないな」と思ったマイルスが急遽呼んだという説があるがどうか。

とにかく炎の演奏。そして炎の編集である。

「What I Say」だけは無編集だが、それ以外は複数曲にまたがるマジックのような編集が施されている。当時の編集は本当にハサミで切ってテープでつないでいた。ときどきブツっと全然違う曲になる。これがまたカッコいい。聴きやすい、分かりやすい、盛り上がる!

マイルスはこのアルバムからエレクトリック・トランペットを吹いていて、パーカッションのクイーカ(片面にだけ皮を貼った太鼓の真ん中に棒が立ててあって布でこすって音を立てるもの)のような音を出していて面白い。もちろんアイアートによるホンモノのクイーカもいっぱい入っている。

「What I Say」は圧巻。21分の曲だが、地球上に存在する音楽で一番ノリノリなのではないだろうか。それはもうさっき書いたのではないだろうか。8ビート、完全なロック・ビートである。ジャズ好きにはジャズが上でロックが下という妙な思想を持った人もいるが、このメンバーがここまでストレートなロック・ビートの曲を、ここまで熱くやっているところを聴くと考えを変えざるを得ないのではないか。イントロから3分ぐらいキースに盛り上げるだけ盛り上げさせておいて「パッ、パッ、パッ」と出てくるマイルスが最高だ。エンディングをロック式に「ジャーン」と終わるのではなく「ここでやめればいいよ」みたいな感じでストッと終わって、マイルスが「サンクチュアリ」というウェイン・ショーター作曲の曲のテーマを「もう終わりだよ~」みたいに吹いて終わる。この終わり方もカッコイイ!(我ながら他に書きようがないのかという気もするが、他に書きようがない。)

そして最後の曲「イナモラータ/ナレーション」変なタイトルだが、演奏が最高に盛り上がってキースがものすごいソロを弾いているとき、なぜか男性のナレーション(詩)が被せられている。なんだこれ。その疑問の中、唐突にアルバムがフェードアウトで終わる。

さて、セラー・ドア・セッションだが、現存するすべてのテープが6枚組ボックスセットとして発売されている。現存する、というわけで完全セットではない。抜けているセットがあるし、1セット目の1曲目からしてフェードインである。

The Cellar Door Sessions 1970

6枚組、ろくまいぐみのCDって買ったことありますか。
ぼくは買った。これがいろんな意味で面白い!!!

まず、マイルスの演奏がやっぱり下手!
テオ・マセロって本当に頼もしい味方だなあ。炎の編集の妙を逆に知ることができる。でも、無編集のマイルスのいい加減さ加減と、それに合わせて行くキース他バンドの面々の超絶的な適応能力よ。

これ、6枚全部iPodに入れてトラック順に見ると、「Directions」という曲が5トラック並ぶ。「What I Say」も5回だ。
正直、同じ曲をそんな何回も聴く必要ないと思うが、聴き比べるのもまた楽しい。
連続して聴いてみるのも面白いよ。iPodがあってよかった。
「Directions」だけでプレイリストを作ってシャッフルして聴く、「Directionsイントロ当てクイズ」なども楽しめる。
金曜日第3セットの「What I Say」でマイルスの「パッ、パッ、パッ」に合わせてアイアートがサンバ・ホイッスルを「ピーッ、ピーッ、ピーッ」と吹いているのが楽しい。こんなことして怒られないのだろうか。

キースのファンはこの6枚組を絶対聴くべきだ。炎のソロが大量に入っている。「イナモラータ」の謎も解ける。

だが、普通に音楽聴いていればいい人がこの6枚組みを買って、「Directions」を5曲聴き比べる必要があるのか、という気もする。『ライヴ・イヴル』を買ったけど満足できない、でも6枚組はちょっと、という中間的な人は、各セットごとにバラでブートも出ているので、そっちをお試しで買ってもいいかもしれない。

なお、6枚組には解説がついていて、どの曲のどの部分がどの順番で『ライヴ・イヴル』に入っているのか解説されている。いかにテオの編集が大胆かつ考え抜かれているかが分かって興味深い。また70年代の電化マイルスを、マーカス・ミラーが「未完成のファンク」などと批判していたようで、6枚組のブックレットの文章でキース・ジャレットがマーカスを名指しで攻撃しているのも読んで楽しい。
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