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深沢千尋

Author:深沢千尋
みなさんこんにちは、深沢千尋です。(公式ページ
文字コード【超】研究 改訂第2版NEW!」「すぐわかるPerl」「すぐわかる オブジェクト指向 Perl」の著者です。
ここでは、多くは技術的でないこと、ごくまれに技術的なことをなげやりに書いていきます。
メールは suguwakaruPerl@gmail.com まで。(アットマークは ASCII に)
Twitterはじめました。@query1000です。よろしく~

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電話嫌い

ノートパソコンのバッテリーを格安に取り扱っている会社がある。
品揃えが豊富な店なのだが、ぼくが持っているノートパソコンのバッテリーはWeb上のカタログに見つからなかった。
問い合わせメール窓口があったので、早速問い合わせた。

夜の8時過ぎになって、この会社の人から電話が掛かってきた。
電話を取るなりその男は、お使いのノートパソコンはどういう機種だの、なんと言う機種の後継機種だの、出た時期が新しくてどうの、弊社に在庫がなかったので知人の会社をほうぼう当たってどうの、一方的にいろいろ話してきた。
結局、そのバッテリーの取り扱いは【ない】ということだった。
それだけの用で、夜の8時過ぎに人の家に電話してきたのである。
ぼくは「ないならいいです」と言って電話を切った。

さて、その電話が掛かるまでぼくは、新しい本を書いていた。
ぼくなんかが書くチンケなコンピューターの入門書でも、文章を書くのはある程度詩想が湧いているというか、ノリノリの精神状態が必要である。
ノリにノッてるときはいくらでも書けるし、後で自分で読み返しても本当に面白いものが出来る。
この精神状態には、自分で持っていけない。
芸人の人が良く「笑いの神が降りてくる」というが、これに近いものがあって、この状態に自分がある瞬間をいかに逃さないかが、文章を書く者の要諦である。
この電話を受けた時はまさにノリにノッていて、ひさびさにいい文章が書けそうだった。

しかるに、その状態の真っ最中に、電話が掛かって来たのである。
夜の8時過ぎ、要件は「注文された品物は【ない】」ということであった。
それだけの用である。
ちなみにぼくは問い合わせをメールでした。
連絡先として、メアドも書いていたのである。
たしかに電話番号も書かされたが、まさか、【ない】ということを言うだけのために、わざわざ電話を掛けてくるとは予想していなかった。
それほど愚かな人間が、いまどきノートパソコンのバッテリーのWeb通信販売などというシャレた商売をしているとは、ぼくは想像できなかったのである。
しかるに、メールではなく電話をよこしてきた。

その結果、なにが起こったかと言うと、さっきまで何を書いていたのか忘れてしまった。
なぜあんなに調子よく文章を掛けていたのか、いまだに分からない。
あんなに調子よく書けるようになることは、しばらくないだろう。
ノートパソコンのバッテリーはないですかとメールを送っただけのことで、金曜日の夜8時過ぎにいきなり電話をもらうようなひどい目にあわされるとは、まさか思っていなかったのである。

それに、ノートパソコンのバッテリーと言うのは、自分が使っているノートパソコン機種の対応品がなかったらもうゲームセットである。
これが「ノートパソコン本体」の営業であれば、まだ交渉の余地がある。
「その機種はありませんが、他の機種であればお安くできますが」と言えばいえるわけだから。
バカな人間のバカさ加減というのは、底知れぬものがある。

「電話は暴力だ」とはタモリ氏の言である。
まったく同感だ。
何をしていようが、どんな精神状態であろうが、じゃんじゃんベルを鳴らして「どんな用事も中断して、私の言うことをまず第一番目に聞け」と言う。
電話を取ってから「今、お時間よろしいですか」と間抜けなことを言う人もいる。
「いや、今は忙しいから後にしてください」と言って電話を切ったところで、電話が掛かるまえの気分、連続した知的労働を行っていたときの高揚した精神状態はもう戻らない。
今はメールというものがあるのに、メールを送らないで、電話をしてくる人は、自分の用事が相手のどんな状態でも割り込みが掛けられる重要事項だという自信に満ちているのであろう。

急用ならいい。
ぼくも病気の親を田舎に残しているので、電話がいつでも取れるようにしているのだ。
しかし、ノートパソコンのバッテリーが【ない】ということは明らかに急用ではない。

この会社は二度と使わない。
また、知らない会社に問い合わせをする場合は「迷惑なので電話は絶対に掛けないでください」と書くことにしよう。
Web通販の営業をやっている人が、このノートパソコンのバッテリーを売っている人ほど愚かである可能性はいまどき万に一つもないと思うが、自衛上そうせざるを得ない。
心苦しいことである。
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