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みなさんこんにちは、深沢千尋です。(公式ページ
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『パルムの僧院』

あー読んだよんだ。読んだよ~

大岡昇平訳の本を、ずいぶん前から手に入れていながら、最初の方を読んでは中断していた。
やはり字が小さく、文章が難しく、あまりにも、げんざい生きている社会と関係がないので読みにくいのである。

しかしながら、別の理由もあったらしい。
同じ本を、中央公論社刊の「世界の文学」中の1冊(全1巻)と、新潮文庫版(全2巻)と両方買っていた。
(買ったのを忘れて2度買っていた)
前者の方が、字が大きく、1冊にまとまっているので、読みやすいと思い、何回もトライしては中断していた。
しかし後者に手を付けてみると、これが読みやすい。
するするっと読んでしまった。
どうも、前者は2段組で、後者は1段組であることが影響しているらしい。
物理的な形状がここまで読みやすさに影響を与えるとは。
そして現在出ている新潮文庫版は、字が大きくてさらに読みやすいようである。
これから読む人は、新刊本を買った方がよいと思う。

さて、ここまで読んで興味が湧いた人は、ここから先の文章を一切読まずに本を買われ、ひたすら読まれるのがよい。
もちろん文庫の後ろの解説や、裏表紙(表4)のあらすじはゼッタイ読まない方がよい。
最も重要なのは、新潮文庫の後ろについている、3行の本の宣伝を読まないことである。
ここには、この上下巻のあらすじが、粗雑な筆で3行にまとめられている。
完全にオチが要約されているのである。
ここを読んでしまっては、ダイナシだ。
しかるに、書いてあるのである。
前にも書いたが、新潮文庫は夏目漱石の『三四郎』でも同じことをやっている。
こんなことをやってなんになるのか、
世界文学に読者が親しまないようにするための政治家による愚民化政策の陰謀か。
ぼくにはわからない。
物語は、先がどうなるかわからないから、それが楽しみで読むのである。
特にこの本はそうである。
しかるにぼくは、この本を読んでいる最中、あまりの面白さに、この本を読み終えたらすぐに読み継げるように、同じ読者の同じ新潮文庫版『赤と黒』を買ってきたとき、まだ『パルムの僧院』が下巻の半分を残しているのにも関わらず、なにげなくツイ出来心で『赤と黒』の巻末についている『パルムの僧院』の粗雑なあらすじを読んでしまったのである。
ダイナシだ。
自分でもなぜそんなことをしたのかわからない。
しかしながら、長い難しい本を読んでいる人間は弱いもので、つい読んでしまうのである。
新潮文庫はオチを先に書かないこと!
ここに厳重に抗議する。



ここから書評に入るが、じわじわネタバレになるので、初読の感動を大切にしたい人はくれぐれも読まないこと。

十分警告したからね~

さてこの本、小林信彦の『小説世界のロビンソン』(新潮文庫刊)で褒められていたので買った。



絶版だけど、アマゾンだと中古が買えるからいいね。

本好きは、ある本が面白いと、同じ著者の別の本を買う。
同じ著者の別の本を買いに行くと、見事に駅前の新刊書店では売切れている。
わざわざマンモス書店に電車に乗って買いに行くのも面倒だから、いきおいアマゾンでポチポチすることになる。
アマゾン以外の本屋は早晩滅びるのではないか。
このことは前にも書いた。

で、ある本を好きになって、同じ著者の別の本を好きになる蓋然性はかなり高い。
9割ぐらいで当たりである。
処女作から年代順に読み進めると、ある時を境にガクンと面白くなくなることがある。
このときは3作続けてつまらないと読むのを止める。
スリーストライクで三振だ。
しかしつまらない本でも取っておいて、年を取ってから読み返すと面白いこともある。

さて、同じ著書の本をあっという間に読み切ってしまったとする。
その作者はあなたにとって十割打者である。
どれも面白い。
でも読み切ってしまった。
この場合は、その作者が褒めている本を買う。
作者が、本好きで、別の本について多く評論を書いているといい。
ぼくの場合筒井康隆の『みだれ撃ち涜書ノート』と(涜は冒涜のトクだが本来は旧字。JIS X 0208にないので朝日新字で書く)と、小林信彦の『小説世界のロビンソン』で褒めている作品はみな読むことにした。
それぞれ学生時代から読んでいるが、ある本が面白いとその作者の別の本に行くので(たとえば大江健三郎やヴォネガットがそうだが)時間が掛かるのである。
これは数珠繋ぎ読書術である。
まあよくやることであろう。

数珠繋ぎ音楽鑑賞術というのもある。
あるミュージシャンと競演しているミュージシャンに行くのである。
たとえばジョニ・ミッチェルでベースを弾いているジャコ・パストリアスがベースを弾いているウェザー・リポートでキーボードを弾いているジョー・ザヴィヌルがキーボードを弾いているマイルス・デイヴィスが・・・という聴き方である。
これもよくやるよね。
こういうことをやっていると、つまらない本やレコードが売れる理由が本当に分からないのである。
閑話休題。

さて、『パルムの僧院』である。
ラ・シャルトルーズ・ド・パルム。
これは統一前のイタリアのパルム公国を舞台にしたある貴族の物語である。
パルムというのはフランス読みで、イタリア読みだとパルマ。

ブライアン・デ・パルマというホラー映画の監督がいるがイタリア貴族の出なのであろうか。
と思って調べたが、イタリアの公国はParma、映画監督はDePalmaだから関係ないようだ。
(関係なかったら書かなくてよい)

作者スタンダールはフランス人であるが、イタリアが好きで長く滞在していた(政情が不安でフランスのスパイと間違えられて悲しい思いをしたりもした)そうだ。
本書にも「我々心をなくしたフランス人にはありえないことだが、イタリア人はこう考えるのである」的な文章が随所に出てきてオモシロイ。

ナポレオンが現れて、去っていった時代の話であり、王政と共和制の過渡期における状況が物語の骨格になっている。
ここで自由主義党派のことをジャコバン党、自由主義のことをジャコビニスムと言っているが、これジャコビニ流星群と関係あるのだろうか。
つまりアストロ球団のジャコビニ流星打法と何か関係があるのだろうか。
さっと検索したが、関係ないようだ。
(だからないなら書かなくていい)

巻末に物語の年譜がついているが、ナポリ炭焼党の乱という政変のことが書いてある。
これってスパゲティ・カルボナーラと何か関係があるのだろうか。
調べるとあるようなないような話である。(Wikipedia

さて、ぼくは字が小さい旧版を買ったが、下巻に誤植があった。
登場人物の人名について、クレリアがクリレアと書いてあったのである。
人のこと言えないが、興趣を削ぐことおびただしい。
わざわざ確認するために、字が大きくなった新版を立ち読みしたが、新版にも(59刷263頁)同じ誤りがあった。
時を大きくしても校正しないものなのね。
新潮文庫には感想を上げるWebページがあるので、正しい使い方かわからないが上のあらすじの件も合わせて苦情を出すことにする。

それにしても『パルムの僧院』、よかった。

昔、マンガ家の魔夜峰夫が同じくマンガ家の竹宮恵子と対談していて、「先日『風と木の詩』を読んだんですが、あまりにも感動して、ぼうっとなってしまって、トーストとコーヒーだけで夕食を済ませてしまったんですよ」と書いてあったが、その気持ちがよく分かる。
本を読んで、あまりにも感動すると、ぼうっとなってしまって、重たいごはんとかおかずとか食べられなくなる。
ラーメン屋に行って注文したり、テレビから歌謡曲が流れてきたりするのが耐えられなくなるのである。
今はこの感動を何者にも邪魔されたくないから、トーストとコーヒーしか食べられなくなってしまうのである。
こういう気持ちになるには
 ・ある程度長さがある
 ・深い感動がある
 ・格調高い
という3つが必要だが、この本にはそのすべてがある。
そして面白くて、うまい。
最後の50ページぐらいからがすごくうまいのである。
キャンドルがいっぱい出てくるところがすごい。
盛り上げるだけ盛り上げておいて、急に関係ない新しい登場人物が出てくるじらしがまたすごいのである。
ああ面白かった。
読め!
読んでください。
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