キーワード

プロフィール

深沢千尋

Author:深沢千尋
みなさんこんにちは、深沢千尋です。(公式ページ
文字コード【超】研究 改訂第2版NEW!」「すぐわかるPerl」「すぐわかる オブジェクト指向 Perl」の著者です。
ここでは、多くは技術的でないこと、ごくまれに技術的なことをなげやりに書いていきます。
メールは suguwakaruPerl@gmail.com まで。(アットマークは ASCII に)
Twitterはじめました。@query1000です。よろしく~

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マイルスはこの順番に聴け!(2)『Man With The Horn』~ぼくのアルバム ベスト100(2)~

さて「マイルスはこの順番に聴け」の2。週イチのペースで書いている。

それで思い出したが、あるミュージシャンが好きになって、CD を買うとき、ぼくにも覚えがあるがガッとめくらめっぽうに買いそうになる。10 枚とか買って、ウンウン言いながら聴く。アレはあまりよくない。どれがどうだったかわけがわからなくなるのである。ぼくは新しいアルバムはせいぜい週に1枚にして、それを何度も聴く、その1枚の印象を大事にするようにしている。まあマイルスを1枚、Perfume を1枚、志ん生の落語の CD を1枚とかだったら混乱することもないのでまとめて買ってもいいのだろうが。本も本屋に行くのが面倒でまとめて買いそうになるが、そこをガマンして1冊を読んでから次の1冊に進むようにしている。まとめて買うと読み方にムラができてもったいない。

さて第2弾はこの1枚。『Man With The Horn』1981年、復帰第1作のスタジオ盤だ。



6年のブランクを経た復帰第1作。ぼくは当時リアルタイムで聞いていないかというと、実は聞いている。一時期「タモリのオールナイトニッポン」でよく掛かっていた。

当時このアルバムを待ちに待って聴いた人の感想は、
・体調が悪い悪いと聞いていたのが、意外と元気に吹きまくっているのでびっくり
・ポップに聴きやすくなっていてびっくり
・ベースのマーカス・ミラー、サックスのビル・エヴァンス(有名なピアノの人とは別人)、ギターのマイク・スターンという若手のド新人を起用していてびっくり
・しかもその新人がことごとくスゴいやつらでびっくり
ということだったらしい。

さてこのアルバム、全体に大きく2つに分かれている。1、2、4、6のおなじみアル・フォスターがドラムを叩いている曲と、3、5曲目のヴィンス・ウィルバーンがドラムを叩いている曲だ。

ヴィンス・ウィルバーンはマイルスの甥で、蟄居中のマイルスの家を何度も訪れて「おじさん、音楽を教えてよ」とせがんでドラムを習い、それが復帰のキッカケになったというちょっとイイ話。ちなみに3曲目、5曲目の作曲に参加した Randy Hall という人はヴィンスの幼馴染で、当時流行していた AOR みたいな音楽をやるミュージシャンだそうだ。まだ聞いていないがこういうアルバムもある。

ヴィンスが叩いている2曲はかる~い雰囲気で、これに続くマイルスのポップ路線のさきがけとのような感じ。ヴィンスのドラムもかる~い感じ。

3曲目「シャウト」はビールだか車だかのコマーシャルにもなった軽快な曲。いわゆる「フュージョン」の代表曲という気がする。これ、「パァ!」という音が「シャウト!」という歌詞がついてるんだと思うのだがどうか。ランディのアルバムに歌バージョンが入ってるんだろうか。

5曲目「マン・イン・ザ・ホーン」ではランディがヴォーカルも取っている。これは当時流行の AOR、マーカス・ミラーも参加したグローヴァー・ワシントン・ジュニアの「ジャスト・ザ・トゥー・オヴ・アス」(当時のタイトルは「クリスタルの恋人たち」)みたいな音楽である。曲の内容はマイルスを称えるアンセムで、よくぞ帰ってきてくれました、という感情が高まって泣かせる。

しかし、メイン・ディッシュはなんといってもアルが叩いている4曲。この時点ではやっぱりアルとヴィンスじゃ格が違う感じ。中山康樹氏が『マイルスを聴け!』の中で書いていることとダブるけど、ヴィンスが叩いている2曲は、当時聴くと最新のことをやっているが、それがかえって、今聴くとすごく古い気がする。(古いからじゃあ悪いかというと、80年代のいわゆるテクノ・ポップと一緒でそこが楽しいのだが。)しかし、アルが叩いている4曲は、マイルスが昔からやっていることをやっているのだが、今聴いても全然新しい。

では昔のアルバムと同じかというと、違う。新しくなっている! サウンド、特にエコーの利かせ方や曲の切り方など、テオ・マセロの手法がめちゃくちゃ新しくなっている。

1曲目「ファット・タイム」の出だしからしてすごい。いろんなアルバムの出だしを聴いてきたが、このアルバムの出だしほどカッコいいのはそう聴いたことがない。特に工夫なく、普通に演奏が始まるだけなのだが、このカッコよさはなんと表現すべきか。聴いてもらうしかない。そして、マイルスのミュートしたトランペットが「ぴっぴっ」と小出しに出てきて、曲に入るところがたまらない。そしてこの曲の終わり方がまた、腰が抜けそうになるほど衝撃的にカッコいい。

(カッコいい、カッコいいと書いていて批評になっていないが、このアルバムはジャケットも死ぬほどカッコいい。CDのジャケットで一番好きなうちの1つである)

2曲目「バック・シート・ベティ」はこの後マイルスのライヴのオープニングを飾る曲だ。『We Want Miles』では2曲目に入っているが、ライヴ盤ではオープニングの「ジャーン」がカットされていて、エンディングにだけ生かされている。このへんのさじ加減がすごくカッコいい。聴くほうの心理状態を読みきってもてあそんでいるのだ。テオ・マセロ恐るべし! ところでスタジオ盤の方のこの曲、いくらでもカッコ良く終われると思うのだがなぜトートツにフェード・アウトするんだろうか。

4曲目「アイーダ」は『We Want Miles』の「ファースト・トラック」のオリジナル低速版。ライヴ高速版の衝撃もすごいが、低速版もスゴい。まず普通にメロディを演奏して、繰り返しでキーを上げ、速さを倍速にするところが鳥肌が立つ。

こんな曲を聴いていると思うのだが、ジャズは「カッコいい音をただカッコよく出すだけの音楽」ではないか。そこが魅力だと思う。巷間あふれるポップスは、とっつきがいいけど、いろいろ手続きがある。音がいっぱい入っていて、歌詞があって、ジャケットとかヴィデオ・クリップとか凝っていて、初回特典の DVD とか小ざかしい物がついていて、耳慣れた安全な、無難な音楽にするための約束事がいろいろくっついて来る。

ジャズはその点違う。カッコいい音が、ただカッコよくドーンと出てくる。何回も出てくる。場合によっては 20 分ぐらいやっている。で、やるだけのことをやり終わったらサッサと終わってしまう。そこが魅力だと思うのだ。どっちがいいとか言ってるわけじゃないよ。食べ物にたとえると大メーカー製のチョコとかカップラーメンのようなとっつきのいい食べ物は結構包装やコンテンツに約束事があって、肝心の食べ物部分は意外と量も少なくて味も保守的だったりするのだが、そうじゃなくて魚屋の裏口で最上級のマグロの赤身をドーンと固まりでもらって、回りの目も栄養のバランスも気にせずにマグロの赤身だけを醤油をつけてただ食べる。ただマグロの赤身をむさぼり食う。そういう快感があると思うのだ。もちろんぼくもチョコやカップラーメンは大好きだ。パッケージされたポップスのヒット曲も大好きである。しかしそういうのとはもう一つまた別の、ただカッコいい音楽にのめり込む瞬間というのがあって、それがマイルスにはあると思う。それを、ふだん普通のポップスを聴いている耳にも分かりやすく感じることができるのが、本作の「ファット・タイム」であり、「アイーダ」であると思うのだ。

6曲目「ウルスラ」はフォービートの曲だが、これもまったく新しい音楽だ。余談だが、たまに後期マイルスがフォービートの曲をやると「やっぱりフォービートの曲がいいネ」という人がいるが(『パンゲア』の終わりの方でフォービートになって安心したとか)そういう人はそこまでガマンして聴いてるのだろうか。無理しないで普通のジャズを聴いたほうがいいと思うがどうか。

スポンサーサイト

<< 『あずまんが大王』の榊さんの気持ちがよく分かる | ホーム | 電子メールのマナーにはぼくも言いたいことがいろいろある >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。