自分なりに貯金術がまとまったので書いてしまおう。
ぼくはだらしないタチで、すぐお金がなくなる。
月末はぴいぴいしている。
いい年なのに、気分は新入社員だ。
ここ3ヶ月、自分としてはちょっとギョッとするぐらい貯金をしたが、月末になっても全然余裕だ。
無駄遣いをしていないわけではない。
むしろ、している。
しかるに、お金が残っているのである。
エッヘン。
とりあえず今の方法をまとめておこう。
といっても、全然たいしたことはやっていない。
・貯金する分を最初に取り除けて、定期預金やMMFなどを買ってしまう
・毎日家計簿を付ける
これだけだ。
というのは、ぼくの場合、お金はパーッと使ってしまう。
給料日から3日間ぐらいの間に、なんか豪遊してしまうらしい。
特に記憶にも残らない豪遊である。
これは本当に不思議だ。
いまだに不思議なのである。
毎月すごく腕がいいスリに付きまとわれていたとかそんな妄想にかられるぐらいわけもわからず減っていた。
で、給料前の一週間のホームストレッチに入ると、1万円で1週間とかすごい生活をしていた。
でも思った。
給料前にすごい生活をしても、それが原因で病気になるとか、死ぬとか、洋服に穴が空いていて町を歩いていて後ろ指を差されるということはないわけである。
普通に生きている。
だったら、最初からその気分で暮らせば、すごいお金が残るのではないか。
じゃあ、給料日に定期預金をバンと買って、最初からギリギリにすればいいと思ったのだ。
あと、どう考えても記録はした方がいいだろうと思った。
どうせ無駄遣いするなら、なんで無駄遣いをしたのか覚えていたい。
自覚のある無駄遣いをしたいものである。
だから家計簿は付けたほうがいいと思った。
いわゆるレコーディングダイエットと同じである。
「いつデブ」の場合は作者の岡田氏が、自ら社長を勤める中小企業を経営する手法を自分の体に当てはめたわけだから、この手法を家計に適用するのはむしろ当然のことだ。
レコーディングダイエットが流行りはじめた頃は「家計簿のダイエット版」という説明もあった。
で、家計簿をつけたあとの効用も、レコーディングダイエットと変わらない。
レコーディングダイエットの場合は食べたものを記録するだけで、特に意識して減食しなくても最初のうちはグングン体重が減っていくわけであるが、家計簿も同じである。
無駄な支出がドンドン減っていき、手元に妙にお金が残る。
だから、ここがこの話のスッキリしないテンだが、何に無駄遣いしていたかは、結局イマイチわからない。
さて、最初に買う金融商品であるが、ぼくは新生銀行の「大同のMMF」と、東京三菱UFJ銀行の「スーパー定期預金」にした。
もとよりどちらも運用性が非常に少ない。
タンスに入れておくのとさして変わらない。
しかし太いのが、前者は「口座振り込みの手数料が月5回無料になる」、後者は「ATMの引き落とし手数料がタダになる」ということだ。
あの銀行の手数料と言うものほど腹が立つものはない。
これを撃退してしまうわけだ。
これはスッキリする。
いい買い物をしたわー、と思うのである。
「貯金」というとストイックで、自らガマンを強いる、というイメージがある。
しかし、「金融商品を購入する」というと攻撃的で、逆説的なようだが蕩尽的な気もしてくる。
よく考えたら「ブランド物の服を買う」のも、「ノートパソコンを買う」のも、どちらも何の役に立つのかイマイチ不明である。
ぼくなんかどうせブランド物の服を買っても、特にそれほどパーティとかに呼ばれて金持ちの娘さんに見そめられたりするタイプではない。
何のために服を買うのか、実はよく分からない。
買った瞬間にワクワクするだけなのである。
ノートパソコンにしてもしかりである。
買った瞬間はこれで何でもできると思ってものすごい全能感に一瞬浸れる。
でもそんなの一時的で、どうせすぐ重いしいまいち使いにくいので使わなくなってしまう。
だから、そういうのもったいないからガマンして貯金しましょう、というお説教的なことを書こうとしているわけではない。
定期預金を買うのも、ムダ使いにちょっと似ていると思うのだ。
これは逆説的だが、我ながらちょっと面白い視点だと思う。
お金を貯めて、何ができるようになるかというと、実はよく分からない。
お金なんか銀行のコヤシにしていても、その時点では何の役にも立たないのである。
しかしながら、何でもできるような気持ちに一瞬支配される。
そういう「アイテム」を1個得るという気持ちになることに気づいたのだ。
そういう意味で、定期預金を買うのは、高価な洋服やノートパソコンを買ったり、あとジムに入会したり英会話教室に通い始めるのと似ている。
一瞬、かりそめの全能感に包まれて、自分のステータスが上がったような幻想に支配される。
ということで、貯金生活も見方を変えればかなり享楽的である。
金融商品を買ったために、手元にお金がなくなって、安い服を着るのも、食費を節約するのも、なんかちょっと冒険的でワクワクする。
最初のうちだけかもしれないが、3ヶ月も続けば立派なものだと思う。
「いつデブ」の岡田氏は「ダイエットは楽しい。ことさらにそう思おうとしているわけではない。本当に楽しいのだ」という意味のことを繰り返し書いている。
最初は読者を励ましてその気にさせているだけだと思ったが、違う。
ストイックになるのは享楽的で楽しい。
言葉で説明してもうまく伝わらないかもしれない。
ちょっとやってみてくださいと言うしかない。
で、貯金する金額だが、「月収マイナス10万円の半分」というのはどうか。
月給20万円なら5万円。
月給30万円なら10万円。
月給40万円なら15万円だ。
これなら現実的だ。
多少しびれるぐらい貯金した方が刺激的でかえって続くと思う。
我ながら調子に乗っている文章だが、自分を調子に乗せてハイになるのがコツだと思う。
さて、家計簿だ。
これは以下のような手法を取っている。
・パソコンを使う
・ソフトは「
記帳風月」を使う。
・データはDropboxに置く
・出先でもチョコチョコ起票できる環境を作る
・レシートを貯める
・パソコンを使うときは、チョコチョコ起票する。起票したレシートはボールペンで印をつける
・レシートをもらえない買い物をしたら、ジョッター(持ち歩きのメモ用紙)に出費項目を書く。殴り書きでよい
・これもパソコンで起票したらボールペンで消しこむ
・1日ぶんのレシートをホチキスで閉じる
・1月ぶんのレシートを自宅のトレイに入れる
・毎月レシートを段ボール箱に入れておく
これだけである。
「記帳風月」を使っているのは、パソコンのどこにでもデータを置けるからだ。
Windowsによくあるのが「My Documents」に置くというやつだが、これだと起票できるパソコンが一台になる。
で、Dropboxにおいて、出先でも起票できる環境を作る。
同じことをやるならWeb家計簿を使えばいいという話もある。
メールで起票できるものもある。
それでいいと思うが、使い勝手や動作の速度で、ぼくは「記帳風月」+Dropboxを押す。
「記帳風月」は口座を何個も作れるのがよい。
ぼくは新生銀行、UFJ銀行、スルガ銀行、ゆうちょ、財布、nanaco、PASMOの口座を作っている。
こうしないと、サッとみた残高が帳簿と一致しないのでかえって大変である。
銀行はすべてインターネットバンキングできるようにしてマメにチェックした方が結果的にラクだ。
レシートはもらった方がいい。
よく見るが、いい大人の人がレシートを捨てている。
そういう人は、どうしようもなくお金に詰まっていそうな人である。
思わず「レシートは持っておいた方がいいですよ」とアドバイスしそうになる。
レシートをもらって、パソコン家計簿に起票し、ボールペンで消しこむ。
パソコンを使うのが苦にならない人であれば、この流れで1円単位でピッタリ合う家計簿が可能である。
前のエントリーで紹介した池田暁子さんの本には「1円単位で合う家計簿は大変だ。おおまかでよい」と書かれているが、おおまかな家計簿をつけるのも大変である。
盲目的に起票し、ピッタリ合わせたほうが手間要らずだ。
家計簿なんかでファジーで高度な判断をしない方がいいというのがぼくの考えである。
クレジットカードは使わないでスルガVISAデビット(使った分が銀行から天引きされるカード)を使っている。
これも借金はよくないという道徳的な意味合いではない。
使った日と引き落としにタイムラグがあるのはぼくには複雑すぎる。
毎日家計簿を付けて残高をぴったり合わせておいたほうがラクである。
あとは、システム手帳のデイリースケジュールのページに「今の残高」と「給料日までの日数でそれを割った値」を書き込む。
これはいいよ。
大体自分が毎日どれぐらい使えばいいかピタリと出てくる。
この金額が下がってきたら要注意だ。
上がってきたらうれしい。
繰り返しになるが「無駄遣いが楽しいように、貯金もまた楽しい」のである。
無駄遣いのクセのある人は、お金に享楽を結びつけているのだから、実は貯金も楽しめるのではないか。
わが身を省みてそう思う。
今のところしているのはこれだけで、月アタマに下ろして用途別に袋に分けるとか(アレはちょっと怖い気がするのだがどうだろう)、お風呂の水をためておくとか、そういうのは一切していない。
要するに今までがムダ使いしていたので、それをやめただけではないかと言われるかもしれない。
たぶんそうだと思う。
要はダイエットと一緒で、これまで太っていた人には効く方法、ということなのだろう。
が、自分はとりあえずうまくいっている。
あと、ダイエットも平行してうまく行ってきた。
あと、今ハイになっているだけで、どうせ何年も続くかどうかわからない、と言われるかもしれない。
それもおっしゃるとおりだと思う。
でも一時でも、しないよりマシであるし、楽しいんだからいいのではないだろうか。
ちなみに「記録」は、ダイエットや貯金だけでなく、普通に毎日の仕事が終わらなかったり、近隣トラブルに悩まされている場合など、何らかの継続的な悩みを解決するのにすごく有効だと思う。
(仕事と記録についてはToDoリストの効用や、GTDが有名だが、本当に効く)
パソコンをなりわいにしてブログとかやってる人は明らかに記録的な人間だから、これを使って何でも解決できると思う。